東京寄席
「よせ」と言われたところでやめない演芸噺

第3回
10月中席 晩秋お楽しみ興行
「松竹と吉本はそれほど違うのか?
―若手芸人考―(その2)」

いらっしゃいませ、こんばんは。
席亭の横山です。
秋も深まりつつある今日このごろ、皆様、
体だけは大事にしてください。
いやぁしかし、行楽の秋ですねぇ。
お出かけするにはちょうどいい時期です。
フットボールを見に行くのもいいですが、
たまには寄席やライブにも足を運んでみて、
生の笑いを体感してみてくださいね。

さてさて、いきなり長編になりそうなこのテーマ、
前回の続きです。

で、松竹と吉本は何が違うのか?
決定的な違い、それは環境でしょう。
あたりまえ?
そうかもしれません。
劇場の運営、タレントの育成方法、
テレビ番組へのブッキング、
マスコミへの影響力・・・・・。
タレントを売り出すための要素、
(ひょっとしたら)すべて負けているのが現状です。
(劣っているとは言いません)
これしかないでしょう。
少なくとも松竹の芸人さんの能力に差があるわけでないとしたら、
そういうことしか考えられません。

今、私の手元にはよしもとの機関誌ともいえる
「マンスリーよしもと」があります。
中を見ると、全国各地でベテランから若手まで
何らかのイベントが毎日行われています。
小屋も自前のものがほとんど。
若手にも大阪ならbaseよしもと、
東京ならルミネtheよしもと、
その他名古屋、福岡、札幌・・・、
自前の小屋以外でも毎日のように行われるライブもあり、
いくらでも自分自身を磨けるチャンスがあります。

で、松竹は?
機関誌?たぶんないでしょう。
自前の小屋?実質、浪花座だけでしょう。
じゃぁ、ほかの小屋でのライブはというと、
大阪でもそれほど多くない。
テレビ局へのブッキング力?
東京ではかなり低いでしょう。大阪もどうだか・・・。
会社の力がよしもとほどあてにならない以上、
自分自身でチャンスを切り開いていかなければならないのが
現実でしょう。
しかし、大阪(東京も?)は
よしもとが事実上制圧している感があり
(よしもとは放送局みたいなもんですから)、
その状況から抜け出すのは困難でしょうし、
仮にその状況を打破しても
思うような成長を遂げられるかは甚だ疑問です。
よしもとの芸人さんすらそうそううまくはいかないんですから。

最近の松竹の例で言えば、
よゐこなんかがそうなんじゃないかと思ってます。
オセロはもともと芸人というよりは、タレントさんだし。
で、よゐこの前で言えば、
山田雅人、森脇健児の「ざまかん」コンビ。
浪花座に彼らが出演したときなんて、そりゃぁ凄かった。
寄席には不似合いな女の子ばかりで、場内超満員。
紙テープは飛ぶ、黄色い声が場内に響き渡る・・・。
彼らの前に登場する芸人さんはネタの途中で帰っちゃうわ、
彼らの出番が終わったら、
女の子たちはトリも見ずにさっさと帰る。
凄い売れっ子ぶりでした。
しかし、そんな彼らの現状はというと・・・。

とにかく、大阪で花が咲いた若手芸人を
ほとんど生かしきれていないわけです。
鶴瓶師匠だけですね、例外は。
ますだおかだもそうならなければいいんですが。

それでも、現に松竹を志望する若手だって大勢いるわけです。
彼らは松竹の弱みを知っていて、
それを逆手に取ろうというのでしょう。
何せよしもとに比べれば、もともとの層は薄い。
ということは、ライバルが少ない。
注目度は低いかもしれないけど、
チャンスが回ってくるタイミングは確実に早い。
そこでもしうまくいけば、
売れっ子になれる可能性だって十分あるわけです。

そのひとつの例が
この前の東京のライブなんじゃないかなと思っています。
よしもとの若手を見るには
ルミネ以外にも多くのライブに足を運ばないと、
その全容はつかめないですが、
松竹ならばそれでかなりの部分は見たことに
なるんじゃないでしょうか。
東京所属の若手芸人がいるわけでもないし。

話は長くなってしまいましたが、私が言いたかったのは
松竹の若手がよしもとの若手に
能力そのもので劣っていることはないんだということ、
そして大阪に根付く(若手だけでなく)演芸界そのものを取り巻く
不幸な現状そのものなんです。
もっとマクロな視点で言えば、
流行っているもの、もしくは力のあるものが価値観のすべてではない
ということ。
ほら、日本のフットボールだってJ1だけじゃないように。

というわけで、
席亭がヒネクレ者の東京寄席は松竹芸能を応援しようと思います。
皆さんがこの拙い文章をお読みいただいて、
もし松竹芸能にも興味を持っていただければ幸いです。

ということで、今回はお開きにしましょう。
で、次に登場するのは何か?誰か?
どうしましょうかねぇ。
ではでは。

平成13年10月好日
東京寄席席亭 横山 講志

次回は10月下席「10月紅葉興行」となります。

追伸
その「ますだおかだ」、M1グランプリに出場し、
まずは第一回戦を突破しています。
増田さんご本人も、
ますだおかだが松竹芸能所属ゆえに
吉本興業がらみのこの大会で優勝できるとは
思ってらっしゃらないようですが、
私はその壁を打ち破るお二人のご健闘を
心からお祈り申し上げます。

あのー、一応申し上げておきますが、
私、別によしもとが嫌いなわけじゃないですからね。
言い訳じみてますが・・・。

(第4回につづく)

10/17/01 UPDATE

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