kids are alright!!
フクハラトシハル、只今米国留学中

アメリカはミシガン州、といってもピンと来ない。
五大湖が周囲を囲み・・・、というと寒いけど、
静かで自然がたくさん、という気もしてくるのだが、
最大の都市はデトロイト、と聞いた瞬間、
それまでの想像が崩れたように感じるのはなぜだろう。
それはまあ、ともかくと致しまして、そんな場所で過ごす、
勝手に「当サイトの副編集長」という尊称を与えられてしまった
日本人留学生からのエッセイをお届けします。

3.セント・パトリックデイ

地上げ屋のごとき、物騒な脅し文句が散りばめられた
ブッシュ大統領の演説が始まった午後8時。
我々の周りにいるアメリカ人が
はたしてTVの前に耳を傾けていたのかというと、そうではない。
僕が思うにアメリカ政府はミスをした。
せめて昨日か明日に、
イラクへの48時間後の宣戦布告を行うべきであった。

今日は我が大学街はこれまでの寒さが嘘のように太陽が顔を出し、
先週の一面銀世界かた一転して、日中は摂氏20度以上まで上昇した。
そして今日はセント・パトリックデイ。
アイルランドの守護聖人の命日であるが、
アイリッシュでない人も今日はなぜかお祝いしている。

それには訳がある。
いわば日本のホワイトデイと同じかもしれない。
アイルランドのビールメーカーが売り上げ促進のために、
アメリカ合衆国にこのアイルランドの祝典を持ち込んだ。
もちろんみんなの片手にはギネスビールが。
だから、今日はさして政治にも、国際問題にも興味のない
大半のアメリカ人学生にとっては街に繰り出し、
この日だけはアイルランドに感謝を捧げ
緑色の染まったギネスビールをたらふく味わう日なのです。
悲しいけれど、この日、我が町の多くのアメリカ人は
遠くで行われる恐怖と混沌とした近未来を考える事よりも、
目の前の一杯のビールを優先させた。本当に悲しいけれど。

もしかしたら、こういう現象は大学町である我が町だけの現象で
アメリカの国民の大半はしっかりとTVを見ていたのかもしれない。
だからアメリカ人は狂っていると断定するつもりはない。
しかしこの1年半、アメリカに住んでみて、
アメリカ人は他国の事には全く興味がない事は
思い知らされてきたので、
僕がきょう、湧き上がった感情は
アメリカの他の都市に住む日本人や外国人も
きっと同じように感じたのではないかと思う。

日本人は平和ボケ民族だとよく言われるし、
僕もこれまでその意見には否定できないでいたのだが、
今日考えを改めた。
街を歩くとこれから戦争が始まるんだという悲壮感が全くない。
聞こえるのはいつも聞こえる大音量のヒップホップと、
酔っ払った学生の雄叫び。
何ら変わらない日常の光景だ。

今日、僕はアメリカ人ではなくて、
日本人でいて本当に良かったと思っている。

(つづく)

03/21/03 UPDATE

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