二股!
荒川裕治によるフットボールコラム

梶山について
5/16 J1ファーストステージ・東京-広島

結果的には1−1のドロー。
ケリーのヘディングシュートで先制したものの、
2点目が奪えなかった。
個人的には非常にバランスが悪かった試合だと思う。

その中で、もがき苦しんでいたのが
左サイドを任された梶山だった。
はっきり言えば、機能しなかったし、
彼の守備が滞ったことで、
今野が左サイドに引っ張られてしまった。
ここ数試合、今野の思いきりのいい上がりで中盤で勝っていたが、
前線と中盤をつなぐ今野がタテに動けなくなったことで、
攻めの形ができなかった。
もう一つ言えば、
足元に強いが、スペースには出ていかないために、
中盤や最終ラインから見て、
パスの出しどころがなくなくてバックパス……
シュートまでなかなか行けなかった要因だと思う。

だが、それだからと言って、梶山を責める気にはならない。
ただ試合中、原監督の采配には疑問を持ったのは確かだ。
「どうして、そこまで梶山にこだわるのか」と。
試合後、原監督と話をしても、モヤモヤしていたのだが、
その後、家路を急ぎながら、ふと独り合点したことがある。

由紀彦のときと似てるな、と。

思い出してほしい。
99年のJ2元年。
由紀彦が東京にやってきた年だ。
大熊さんは、由紀彦を開幕前はトップ下で使っていたが、
開幕直前になって右サイドへコンバートした。
その際の前後の話はここでは省略するが、
今の原監督も、あのときの大熊さんも、考えは同じはずだ。

「結果を出しながら、個を育てる」

正直、99年は切実だった。
1年での昇格を求められながら、
序盤は結果が出ずに苦しんだのだから。
そんな中、
大熊さんは批判を受けながら、由紀彦を右サイドで使い続けた
(途中、6試合トップ下で起用して、
 その時期は4勝1敗1分。勝率はいいなぁ)
そうは言っても批判したのは、私だけかも。
当時は、試合が終わった後、
大熊さんとはいつも由紀彦について話しあっていた気がする。

というのは個人的に、
前年に見せつけられた成光と岡元(勇人:現・東京ガス社員)の
コンビが強く残っていたからだ。
お互い、大きなサイドチェンジをしながら、
かつポジションチェンジもし、アグレッシブに仕掛けるサッカー。
彼らのプレーには、Jでも見られない、ダイナミックさがあった。
それだけに右サイドで由紀彦を使い続ける大熊さんを
理解できなかった。
成光と岡元でいいじゃないか、と。

だが、そこで言われたのは、
「あの二人(成光と岡元)でどこまでJ1でやれるかは未知数だ」。

要は、すでにJ1も視野に入ってのコンバートだったのだ。
結果的に、由紀彦は日本でも有数なサイドアタッカーに成長した。
これには異論がないだろう。

そこで梶山だ。
18歳で試合に出ることができる選手は、そうはいない。
東京としては期待する逸材であることは間違いない。
すでに真ん中−−トップ下とボランチとしては、
プロで十分通用することは証明済みである。
だがプレーにまだまだムラがあり、
軽いプレーもチラホラ見られる。
ちょっとしたミスも、個人技でなんとかできたりするから、
実のところ、たちが悪い。
特にボランチだと、ミスがミスにならないことも多々ある。
しかし、そういうプレーをしていると
現在のU−19代表監督である大熊さんから試合中、
集中砲火を浴びることになる。
巧さが両刃の刃になって、
チームとしてプレーの連動性を止めることもあるのだ。
それが結果的にミスにならなかったとしても、
チャンスを失ったことになる。
そこを責められるのだ。
そこの“軽さ”を修正しなければ、
U−19で「不動」とはいかなくなるのだ。

思うに、その修正方法として、
原監督としては左サイドを任せているのではないか。
サイドのプレーで流れが切れてしまうと、
東京の「攻撃サッカー」は形にならない。致命的だ。
そこでしっかり起点となれるか、さらにチャンスを演出できるか。
若干18歳ではあるが、
その才能を認めた上で責任を持たせ、
自覚を促しているような気がしている。
もちろん、ケリーがいる限りトップ下での出場はないのだから、
自分の居場所を見いだす必要性もあるのだ。
この居場所作りも、「出てナンボ」のプロとして必要な仕事だ。

そして、梶山が左サイドでポジションを奪えたとき、
東京はさらに一つステップを踏むことになるような気がする。
考えてほしい、
去年までのプレーでは、これ以上東京が上に行くことはないのだ。
去年以上のプレーを個々に要求し、
かつ選手にはプレーで表現してもらわなければ、
優勝などできないのだ。

次のステップへ−−
そう考えながら、もうしばらく梶山を見続けたいと思う。
梶山には、この期待に応えてほしい。
もちろん、戸田にも規郎にも頑張ってほしい。

(つづく)

05/18/04 UPDATE

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