二股!
荒川裕治によるフットボールコラム

名前ではなく、コンディションで選ぶべきだ。
3/31 FIFAワールドカップアジア地区1次予選・シンガポール対日本

素直に勝利を喜べないのはなぜだろうか。

前半の勢いはどこへやら、
後半に入るとペンを動かす右手が止まっていた。
後半開始前、シンガポールは思いきって、2枚のカードを切った。
シンガポールは、まだ諦めていないという意思を
スタンドに向かって明らかにした。
だがその意思は、
日本の選手にもジーコにも届かなかったようだ。
「いつか入るだろう」
「とりあえず、こうしてみよう」
シュートシーンだけでなく、
相手のペナルティエリア付近でのプレーに
“吹き出し”を付けることができれば、
そんなセリフばかりだったかもしれない。
いや、別にこれは後半に限ったことではなく、
前半開始10分の猛攻でも感じられたことだ。
ただ、あの時間は
「早い時間帯で決めてやる」という気持ちはあっただろうが。

まさかの同点劇。
いや、その“まさか”があるのがサッカーであり、
ワールドカップ予選でもある。
何が起こるかわからないのだから、
決められるところで決めなければ、逆に決められるだけなのだ。

結果的に藤田を称えたい。
あの一瞬の勝負勘は、間違いなくJで培ったものだ。
感動的でもあった。
だが、このゴールが
ジーコのクビを安泰にさせたゴールになるのであれば、
喜びは半減だ。
個人的には、あの同点とされた
19分間もの屈辱を味合わさせてもらっただけで十二分だ。

もういいだろう。
確かにボールはつながった。
曲芸にも似たダイレクトパスが次々とつながった。
流れるようなパスワークだった。
だが、その度に誰か必ず消えていたのも事実であり、
回したパスの数を考えると
絶対的なシュート数が少なかったのはなぜだろうか。
柳沢も高原も、きれいにやろうとし過ぎたのではないか。
オマーン戦から何も改善されていない。
それ以上にシュートが枠に飛ばないのは、危機的状況かもしれない。
もちろん、昨日、今日からの話ではないが、
何かつける薬が欲しいものだ。

さて、この試合でも
こういう布陣で試合を続けていくことは、
日本にとって決してプラスにならないということが
またも明らかになった。
こんな苦労は、最終予選でもしたくない。
先制点を決めた高原を含めても、
やはり欧州組は必要最小限の招集でいい。
いや、しばらく必要ないのではないか。
今回のようにアウェーでは、
ある程度余裕を持って臨まなければ、勝つことは難しい。
一次予選だけ見てもインドとオマーン、
どちらも暑さ対策が必要だ。
前日に主力選手が合流するなどとという、
こんな綱渡りのようなことは、もう続けていられないはずだ。
特に今日の柳沢を見たら、
最初から玉田を出してもらいたかったし、
中村ではなく藤田がスタメンで出るべきだった。
わざわざヨーロッパから呼んだからには
使わなければならないのかもしれないが、
名前ではなく
シビアにコンディションを判断してもらえないのだろうか。

中田が試合後のインタビューで、
昨日だけでなく今日のウォーミングアップでも
雰囲気がおかしかったことを告白した。
単純に暑さだけでなく、油断もあったに違いない。
それは、欧州組から醸し出されていたならば、当然のことだと思う。
推測の域を脱しきれないが、
国内組中心で戦っていれば、
こんな試合展開にはならなかったのではないか。
個々の力の差ははっきりしていたのだから。
逆に日本は、今回のメンバーで引き分けに終わっていたら、
ダメージは計り知れない。
そういったことも考えて、メンバーを構成してもらいたいものだ。

試合前、中田が異様に汗を流していた。
中田だけでなく、全員がそうだった。
試合前から大量の汗をしたたらせながら、
特に欧州組は何を感じただろう。
日本よりも寒いヨーロッパから
いきなり30℃の国でのプレーなど、簡単に順応できるはずがない。
試合に出ていない選手であれば、なおさらだ。
欧州組のほうが甘く見ていたのではないか。
そして、あの前半10分の“雑な”猛攻は
そんな焦りからではなかったのか−−いや、考えすぎだろうか。

(つづく)

04/01/04 UPDATE

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